連載:なぜ、こんな時代になったのか ――人間心理から読む2026年の地図
**第3回 / 2026-06-03**
この連載の軸:
見えるものと見えないもの、どちらに寄りすぎても見失うものがある
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数字が示すもの
実質賃金が4年連続でマイナスだ(※1)。
家計は食費に押され、外食を削り、旅行を諦める。副業を始めた人は今や11人に1人(※2)。人手不足による倒産は441件と、記録を更新し続けている(※3)。
数字は、一つの行動を映している。人々は守ろうとしている。削り、逃げ、貯める。それは理にかなった反応だ。しかし、守るほど何かが消えていく。
易経が見た構造
易経に、この構造を描いた卦がある。沢水困——沢の水が地の底へ流れ去り、干上がっていく状態だ。エネルギーが外へ、下へと抜けていく。
防衛的消費が市場を冷やし、企業の売上を押し下げる。副業で疲弊した従業員の本業が鈍る。人が一人抜けると、残った者の負荷が増し、また一人が抜ける。守ろうとして始めた行動が、守るべきものを削っていく。
#出口は縮む先にはない
しかし困卦は同時に言う。「困にして亨る」——困難の中にこそ、道は開ける。
出口は、縮むことの先にはない。守りながら、同時に何かを動かし始めること。削るべきものを削りながら、人が留まる理由をつくること。守りと動きは、交互にではなく、同時に働く。
自社の中で何が「水を抜いているか」を見ることが、最初の一手だ。
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**出典・参考資料**
※1 厚生労働省「毎月勤労統計調査」2025年確報(JILPT)実質賃金前年比-1.3%、4年連続マイナス
※2 パーソル総合研究所「副業実施状況調査」第4回(2025年8月、n=38,766)副業実施率11.0%
※3 帝国データバンク「人手不足倒産動向調査」2025年度(441件、前年度比1.3倍)
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