「困」の罠:利己的行動が招く共倒れの連鎖 困窮状態において、人間の心理は自然と「自己防衛」へと傾きます。材料の買い占め、仕入先への強引な値引き要求、競合顧客の奪取——これらは個別の戦術としては「合理的」に見えますが、業界全体で連鎖すると「困」をさらに深める悪循環を生みます。 易経 困卦の大象伝は、この局面でリーダーが取るべき道を示します。 「沢に水無し、困。君子は以て命を致し、志を遂ぐ。」 (易経 第47卦 沢水困 大象伝) 窮地においても、意志と秩序を失わないことが「大人(たいじん)」の要諦です。目先の不安に駆られて沢の残り水を奪い合えば、沢そのものが消滅する。その構造に気づけるかどうかが、経営者の器を問います